Ⅳ-3 利益を増やすには?KPI・KGI

前の記事で利益の基本を述べましたが、具体的には何をやればいいのでしょうか?

売り上げを増やすには?

病院の売り上げは患者数×入院単価で決まります。職員に「稼働をあげよう(=患者数を増やそう)」というのはまだいいと思いますが、「単価をあげよう」と言ってもそのためには具体的に何をすればいいの?って事になります。

単価を上げるには?

単価を上げるためには単価がどのような内容で決まっているのかを分析する必要があります。ほとんどの病院でレセプトは電子化されていると思いますので、レセコンからデータを出力し、最低でも数か月、できれば2年くらいは遡ってデータを見てみます。その時わからない項目があれば白本を読みましょう。しろぼんねっと(しろぼんネット)などのサイトを使ってもいいと思います。

KPI・KGIとは?

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Ⅳ-2 病院の利益についての一般論

病院の経営状況を改善するために何をやるのが適切なのか、一般論を今回は書きたいと思います。

利益とは?

まずは利益についてざっくり整理したいと思います。細かいことは別の記事にまとめる予定です。

経常利益=売り上げ―経費

純利益=経常利益―税金

手元に残るお金はイコール純利益ではないですが、ひとまずはそう考えていただいても構わないと思います。

利益がどれだけ必要か?

借金の返済がいくらあるかで決まってきますが、税金を支払った後のお金が年間の返済額を上回っていないといけません。

わかりやすく返済額を一年1億とすると、1億/0.7≒1.4億となります。ざっくり4割増しの経常利益が必要となります。

利益を増やすには?

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Ⅳ-1 支援開始

メインバンク以外の借入先からも債権放棄の承諾を得たので、支援開始となりました。

発表から他行の承認まで

通常、支援が決定した後関係金融機関の反対で支援開始できないということはないと聞いていたので、わたしはのほほんとしていましたが、他行から承諾を得られたという連絡をしてくれた時の関係者の喜びようから判断するに、実はそんなに楽観視できない事だったのかなと思いました。とはいえ当法人の支援も夏に正式決定し、いよいよ支援開始となりました。

支援開始にあたって

支援開始にあたって、債務カットと1名支援機構から法人に人を送ってもらえます。その人が来て最初に行うことは、まずは法人内の問題点をもう一度洗い出してその問題点を職員が認識して改善に取り組むというプロセスです。それにあたって法人内にそれぞれの問題に対してのプロジェクトチームを作り、プロジェクトチームで色々話し合っていくという形式をとることになりました。プロジェクトチームのメンバーは法人内から選抜します。そういったプロジェクトチームはJALの時にも行われたようです。この当時私は、JALのような一流企業であれば当然優秀な人材がたくさんいるので、法人内でプロジェクトチームを作ってもいろいろといいアイデアは出るだろうと思いましたが、うちの場合はそういったいい人材が本当にいるのかなと、このプロジェクトチームに対してはかなり懐疑的でした。

問題点の洗い出し、実はコンサルタントは多くの事はしてくれません

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Ⅲ-13 支援機構から再生支援を受ける事を発表

私は覚悟を決めて支援機構に再生をお願いすることにしましたが、私が決めたからと言って支援が決定とはなりません。

関係省庁の承諾は?

支援機構は内閣府が作った組織でしたからまずは内閣府の承諾が必要です。それをもらった後、関係省庁の承諾が必要となります。うちの場合は病院でしたから厚生労働省の承諾が必要でした。当時からすでに精神科病床が多すぎる事が問題視されていて、そんなところは潰してしまえば病床も減るから好都合と言われてしまったらそれまでです。そうならないためのロジックとして平均在院日数の大幅な短縮を計画に盛り込んでいます。もし平均在院日数を1/3にできるなら大きな意義がある、とお言葉をいただき承諾されました。

借入先からの承諾

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クリニックオープンに最適な季節は?工事が遅れて、、#6

外観、間取り、内装が決まると工事へとはいっていくわけですが

クリニックの開業は何月が最適?

小児科メインのクリニックですから普通は冬が忙しいわけです。忙しいイコール需要が多いという事なので、そこで周辺の方に認知度を高めていきたいと考えました。ただオープンしていきなり繁忙期となると新規オープンでうまく運営できない可能性もあります。9-10月オープンしてスタッフの教育などを行い、徐々に周辺の方への認知を上げつつ冬を迎えるというのが理想的なスタートだと考えました。

11月になるとインフルエンザの予防接種もはいってくるのでまさに理想的なスタートです。

工事がとにかく遅れて

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Ⅲ-12 医師が一人増えるって大きいです

連帯保証を引き受けて、支援機構の再生支援を受ける事を決めた頃

常勤医が一人増えそう

前年の4月に入職した先生の少し先輩の先生が4月から常勤で来てくれる事になりました。

常勤医2人でサテライトクリニックも2月にオープンしていたので、本当に助かりました。

精神科医は規定上は48名まで受け持つ事ができますが、急性期の患者さんが含まれての48名はなかなかに厳しいものがあります。

非常勤の先生も増えることに

いいことも悪いこともえてして重なるもので、4月から一泊二日で来てくれる非常勤の先生も増える事になりました。

これでサテライトクリニックも週に5日診察することができます。

医師がひとり増えると?

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Ⅲ-11 最終決断、連帯保証を引き受ける?

再生計画の最終案、債務カットの額、などが出そろって、いよいよ最終決断です。この時点でやっぱ無理です。と言ったらヒンシュクを買うのと、費用が1000万ほどかかりますが、まだ一応後戻り可能でした。

再生支援を受けた場合のメリット

まずは10億の債務カットです。これの利息だけで3000万弱収支が改善します。

もう1つは支援機構からスタッフが送ってもらえること。わたしは、経営、マネジメントは素人でしたから助かります。

受けた場合のデメリット

連帯保証人にならないといけないので、もし再建に失敗したら、その時点でいったん自己破産です。

気になる点 続きを読む

Ⅲ-10 債務カット10億!

再生計画は、熾烈な綱引きののちにほぼほぼ最終案ができてきました。

資産の再評価ののち、債務超過は12億強

再建計画を立てると同時に資産の簿価の見直しも行われました。建物や土地などを含めた資産から債務を引いたらマイナス10億ですよ、といわれていたわけですが、それはあくまで帳簿にのせた時点の価値でありますから、資産の価値を再評価してみる事になりました。このような作業は通常行われるようで、JALの時も行われています。

なぜ行われるのかというとその時の資産を適正価格で評価する必要があるという事。債務カットが行われると、カットされた分は利益になってしまいます。利益になればその部分には法人税がかかってしまうので簿価損を算入して利益を圧縮するという狙いもあります。JALはこの時に航空機の簿価損が莫大で何年間も法人税を払わなくてよくなった事は有名です。

当法人も資産の再評価を行ったところ簿価が下がり、債務超過は増加して債務超過は12億強という事になりました。

再建計画の最終案は?

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Ⅲ-9 再生計画をめぐる綱引き

引き返せるぎりぎりまでは進んでみようと決意し、支援機構に現状分析をお願いしました。

メインは病院再生計画

法人の再建の中でもメインとなるものは病院の再生で、支援機構が再生を支援するからには、旧来の精神科病院のスタイル(患者さんを入れっぱなしにするというスタイル)からの脱却というものがメインテーマになりました。

新入院患者数5倍?

コンサルタント会社(転職の時に見学行った病院の経営をしていた会社でした)(Ⅰ-3 病院見学 医師紹介会社のエージェントは役に立つ?)や再生支援機構のスタッフからあった提案は、毎月の入院を30名にしましょうというものでした。ちなみに私が入職する前は、1日3人しか診れない院長でしたから月の入院が数名という状況でした。(Ⅱ-2 トンデモ院長part2 )。私が入職した後でもやっと月5名くらい、年間で60名程度でしたから約5倍です。

30名というのは途方もない数字です。200床弱の病院で30名毎月入院するということは3か月で半分の患者さんが入れ替わっているという状況ですから。

新入院毎月30名の根拠は?

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Ⅲ-8 常勤医二人のみ

支援機構に現状分析をお願いしようかどうしようか悩んでいる時に病院で大事件です。

院長が交代して

4月からは前述(病院の改革のために#14)の先生が入職してくれて、わたしが院長兼任になり、医局の体制はかなり強化されました。

新しく来てくれた先生の診断や投薬は、腑に落ちるもので、安心して任せられました。

そのため急性期亜急性期の病棟はわたしとその先生の二人で診て、それ以外の病棟は非常勤の先生ともともといた常勤の先生で診る体制で固まっていきました。

病院の改革も

もともとトロイカ体制で運営していた(不思議なマネジメント形態#8)わけですが、毎週一回はそれまで三者で行っていた会議にも顔を出し、四者での会議とし、決めないといけない事、改善しないといけない事をわたしの名の下にスピード感を持って進めていくようにしていきました。

それと並行して、わたしはサテライトクリニックの開院準備や支援機構の話をどうしていこうかなどに頭を悩ませていました。

常勤の医師から辞表が提出される

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